米国の追加関税から考える、これからの海外取引と商品づくり

投稿日:2025年9月5日

2025年、世界の貿易環境は大きく変化しています。
特に注目されているのが、米国による追加関税措置です。
関税とは、海外から商品を輸入する際に課される税金です。関税が引き上げられると、輸入企業の仕入れコストが増加し、商品の販売価格や企業収益にも影響が及びます。
米国の関税政策は、日本から米国へ直接輸出している企業だけの問題ではありません。
一つの商品が完成するまでには、複数の国や地域で材料調達、部品製造、組立、検品、物流が行われています。
そのため、一部の国や商品の関税が変わるだけでも、世界全体の供給網に影響が広がる可能性があります。

日本企業への影響

経済産業省の資料によると、2025年7月の日本から米国への輸出額は、前年同月比で10.1%減少しました。
その中でも、自動車の輸出額減少が大きな要因となっています。2025年7月の米国向け自動車輸出台数は前年同月比3.2%減でしたが、輸出額は28.4%減少しました。
関税が引き上げられると、輸出企業にはいくつかの選択肢が考えられます。
一つは、関税によって増加した費用を販売価格へ反映する方法です。
しかし、販売価格を引き上げれば、現地市場で商品の競争力が低下する可能性があります。
もう一つは、企業が関税負担の一部を自ら負担し、販売価格の上昇を抑える方法です。
この場合、商品の売上を維持できたとしても、企業の利益率は低下します。
また、米国内や関税の影響が少ない国へ生産拠点を移す方法もありますが、新しい工場の選定、設備投資、品質確認、人材育成などには時間と費用が必要です。

関税は完成品だけの問題ではない

2025年8月、米国では鉄鋼・アルミニウム関税の対象となる派生品がさらに拡大されました。
対象には建設機械や農業機械など幅広い商品が含まれ、対象製品の鉄鋼・アルミニウム含有部分に対して50%の追加関税が課されることになりました。
ここで重要なのは、完成品だけでなく、商品に使用されている材料や部品の構成まで確認する必要があるという点です。
例えば、一見すると金属製品に見えない商品であっても、内部の部品、金具、留め具、付属品などに鉄鋼やアルミニウムが使用されている場合があります。
関税率を判断する際には、商品の名称だけではなく、材質、用途、構造、原産地、価格構成などの情報が必要になることがあります。
今後の国際取引では、「どこで最終製品を作ったか」だけでなく、「どこから材料を調達したか」「どの国で主要な加工を行ったか」が、これまで以上に重要になると考えられます。

サプライチェーンの見直し

サプライチェーンとは、原材料の調達から製造、輸送、販売までの商品供給の流れを意味します。
これまで多くの企業は、価格や生産効率を重視し、特定の国や工場へ生産を集中させてきました。
生産を集中させることで、製造コストを抑え、品質基準を統一しやすくなるというメリットがあります。
一方で、関税、感染症、自然災害、戦争、物流混乱などが発生した場合、一つの地域への過度な依存が大きなリスクとなります。
経済産業省が2025年6月に公表した「通商白書2025」でも、米国の関税政策による不確実性の高まりや、サプライチェーンの強靱化が重要な課題として示されています。
企業には、最も安い生産地を探すだけでなく、供給が停止した場合にどのような代替手段があるかを考えることが求められます。

中国生産をどのように考えるか

中国は、原材料、部品、加工技術、包装、物流など、幅広い産業基盤を持っています。
多くの商品を短期間で生産できる能力や、豊富な加工方法は、現在も中国生産の大きな強みです。
一方で、中国だけに生産を集中させることに対して、地政学的リスクや関税リスクを心配する企業も増えています。
しかし、単純に中国から他国へ生産を移せば、すべての問題が解決するわけではありません。
生産国を変更すると、製造単価が上がる場合があります。
また、現地で必要な材料を調達できず、結局は中国から部品や材料を輸入することもあります。
新しい工場では、日本企業が求める品質基準や検品方法を十分に理解していない可能性もあります。
重要なのは、特定の国を感情的に避けることではなく、商品ごとに最適な生産体制を検討することです。

複数の選択肢を持つ

供給網のリスクを減らすためには、複数の工場や生産地域を確保することが有効です。
ただし、複数の工場へ見積もりを依頼するだけでは十分ではありません。
工場によって、得意な材料、加工技術、最低ロット、品質水準、納期、管理体制が異なります。
価格が安くても不良率が高ければ、再生産、再検品、返品、追加送料などが発生します。
反対に、製造単価が多少高くても、不良品が少なく、納期が安定している工場の方が、最終的な費用を抑えられることがあります。
企業は商品の単価だけでなく、品質、納期、物流、関税、為替、不良率を含めた総コストで判断する必要があります。

品質管理の重要性

国際的な供給網が複雑になるほど、品質管理の重要性は高まります。
生産国や工場を変更した場合、同じ図面や仕様書を使用しても、完成品の品質が同じになるとは限りません。
材料の品質、機械の設定、作業員の経験、検品基準などによって、商品の仕上がりには差が生じます。
そのため、生産前の仕様確認、試作品の確認、製造中の検査、完成後の検品を行うことが必要です。
特に、新しい工場で初めて生産する場合には、量産開始前に問題点を発見し、修正することが重要です。
関税や為替の変化に対応するために生産先を変更しても、品質問題が発生すれば、企業やブランドへの信頼を失うことになります。

価格だけに依存しない商品づくり

関税や物流費が上昇する環境では、商品の価格競争はさらに厳しくなります。
しかし、すべての企業が低価格だけを追求すれば、品質低下や過度な価格競争につながります。
今後は、商品の機能、デザイン、物語、ブランド、サービスなど、価格以外の価値を高めることが重要です。
独自性のある商品であれば、多少価格が上昇しても、消費者から選ばれる可能性があります。
特にキャラクター商品やオリジナルグッズでは、その商品にしかないデザインや世界観が大きな価値となります。

変化に対応できる製造体制へ

関税政策や国際情勢は、一つの企業がコントロールできるものではありません。
企業にできることは、変化が起きないことを期待するのではなく、変化が起きても対応できる体制を準備することです。
株式会社デイリープラネットジャパンでは、中国における商品製造と品質管理の経験を活かし、お客様の商品企画に適した生産方法をご提案しています。
単に価格の安い工場を探すのではなく、商品の材質、用途、数量、品質、納期、物流方法などを総合的に検討することが重要だと考えています。
世界の貿易環境が変化する中でも、安定した品質の商品を確実にお届けできる製造パートナーを目指してまいります。


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